※こちらのページは,主に学部生・大学院生向けのページです.

 

 荒井研の研究内容

  荒井研では,分子・原子をベースにしたシミュレーション(分子シミュレーション)を用いて,材料設計や物質設計の先端技術につながる現象解明を行っています.皆さんは「シミュレーション」というと,どのようなものを思い浮かべるでしょうか.多くの人は,車の破壊シミュレーションだったり,天気予報の気象シミュレーションだったりするのではないでしょうか.というのも,これらはすでに応用研究の段階に入っているため,一般の人の目にもつきやすいシミュレーションだからです.これらは一般的に,「連続体シミュレーション」と呼ばれています.荒井研で取り扱うのは,それらとは異なる「分子シミュレーション」という手法です.この手法は,物理現象をモデルとして仮定してしまうのではなく,分子・原子の相互作用の方程式を用いて分子レベルの現象を解析する方法です.

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 これまで分子シミュレーションは主に基礎研究や理論研究に用いられてきました.しかし近年のコンピュータの劇的な進化やアルゴリズムの発展に伴い,徐々に工学的な応用研究へも踏み出せるようになってきています.例えば車や飛行機のシミュレーションが実際の製品開発で日常的に用いられているように,今後分子1個レベルの精度で製品を創るため,材料や化学,薬学・医学製品開発で分子シミュレーションが当たり前のように用いられる日が来るはずです.今がまさにそのPhase transitionの時期で,最近では多くの企業も注目している,将来性の豊かな研究です.荒井研では「分子シミュレーション工学」をキーワードに研究を進めています.
 

 荒井研の研究方針

 荒井研では,基本的に全ての研究は計算機を使って行います.したがって,多くの場合,自分でプログラミングする必要も生じます.プログラミングを通して,1. 論理的な思考能力2. アウトプットの達成感を身につけて欲しいと思っています.まず,プログラミングは非常に論理的な作業です.自分の書いたコードは自分が書いた通りにしか動きません.コードを書き始めの段階で,論理的に設計する必要があります.また,もし上手く動かなかった時,コードの修正(バグ取り)を行いますが,どこまで上手くいっているのか?この値を入れたら,期待通りの値が返ってくるか?など,論理的に考えなければ修正することができません.このように論理建てて物事を考える力は,社会に出てからも必ず役に立つ能力だと思います.次に,コードが上手く動いた時は,プログラミングに苦労した時ほど大きな達成感を得ることができます.この達成感は,言葉で上手く伝えることができませんので,是非自分で体験して欲しいと思います.

 もしかするとこれまでコンピュータは苦手だった人もいると思います.しかし,荒井研ではこれまでのコンピュータスキルに関しては全く問いません.研究室内で最初に輪講を行いますし,わからないことは聞けば,先輩たちが丁寧に教えてくれるような環境です.つまり,研究室に入った時プログラミングスキルが全く無くても大丈夫な体制になっています.必要なのはやる気だけです.スキルは研究を通して,勝手に磨かれていきます.

 研究の成果は国際的に評価の高い論文誌(英語)に投稿します.学部生でも国内外の学会で発表を行うだけでなく,投稿論文に掲載されるような非常にアクティビティの高い研究室です.研究を進めていく際には,常日頃より盛んに議論して欲しいと思います.議論しながら自分の考えがまとまったり,議論の相手にも良い影響を及ぼすことがあるからです.また現在,学科内(泰岡研究室,堀田研究室)や国内外の大学(名古屋大学,福井大学,山形大学,奈良先端技術大学,University of Nebraska-Lincoln,Mainz University)・研究機関(理化学研究所,産業技術総合研究所)・企業と共同研究も行っています.最先端の研究や未知の現象を取り扱うためには,幅広い専門的な知識が必要です.共同研究先の知識と私達の知識を融合することで,研究のさらなる高価値化と加速が図れると考えています.

 
学会での発表の様子
 
ISMC

ISMC@FranceにてDr. A. Nikoubashmanと


 

 研究室のスケジュール

 荒井研への配属が決まったら,まずは研究テーマの決定を行います.その時には,顔合わせも兼ねて上級生と懇親会が開催されます.さらに,年末・年始は忘年会や新年会が開催されます.

 年が明けるとプログラミングに関する集中講義を行い,プログラミングの基礎から,実際に分子シミュレーションを実行するところまで学びます.2月下旬から3月には新配属生のための研究発表会(合宿形式も検討)を予定しています.その時までに自分の研究テーマに関連した論文を読み,内容を発表してもらいます.年度末から始めにかけて,花見の会を行います.前任校では大阪城公園で花見を行いました.

 4年生になると,統計力学についての輪講を行います.輪講を通して,研究者としての必要な知識を学んでいきます.また月に1回程度,研究の進捗を報告します.研究成果が出た時点で国内学会や国際会議での発表や,それをまとめて国際的な論文誌へ投稿を行います.7-8月には大村研と合同で研究室合宿を行う予定です.さらに,例年11月末から12月の始めに開催される分子シミュレーション討論会は研究室旅行を兼ねて,全員参加となります.

 研究室全体の懇親の場として,歓送迎会や花見,合宿,忘年会・新年会が開催されます.さらに,ゲリラ的に懇親・情報交換会が開かれます.また共同研究者の方がいらっしゃった時も,その都度懇親会が開かれます.懇親会は,研究上の様々な情報を交換したり,壮大なプロジェクトの構想が話されることもあり,学生にとっては普段聞けない話が多数聞けるので,非常にためになるはずです.

年間スケジュール表

3年生
12月配属・テーマ決め・忘年会
1月 新年会
2~3月 研究発表会(合宿形式?)
4年生
4月 花見・輪講開始
6-7月 大学院試験
7-8月 合同合宿
8-9月 OB会
10-12月 学会発表
12月 忘年会
1月 新年会
2月 卒論発表
3月 卒業

花見

花見の様子(2018年)
合宿

合宿の様子(2018年)


 

 荒井からメッセージ

 高性能のコンピュータを使って理論的に研究をしたい,研究をして歴史に名を刻みたいと思う人におすすめの研究室です.なんとなく研究をしたい人や,卒論や修論ができれば良い人,就職するには研究室に入らないとならないので,という後ろ向きな人にはお勧めできません.研究は世の中のだれも知らないことに挑戦することであり,結果が出るまでには相応の時間がかかります.特に研究を始めたばかりのころは右も左もわからず,時間を費やしてもわかってきたという実感が得られないものです.しかしある時必ず”わかってきた!”という手応え,Phase transitionが起きます.したがって,その相転移が起きるまでは(自分もそうでしたが)ツラく,研究や研究活動に興味がわかないと継続できないからです.

 また荒井研究室では,アウトプットに拘りたいと思っています.達成したことはアウトプットして(=自分以外の誰かに伝えて)初めて価値が生まれると考えていますので,是非価値ある研究や勉強をして欲しいと思います.そのため,私は研究とは学術論文で成果を世界に公表することであると考えています.卒論や修論は学事的な手続きに過ぎません.もちろん,学術論文で公表することは容易ではありません.タイムリミットのある学生ならなおさらです.そのため,荒井研では配属後すぐにテーマを選び,研究に取り掛かることができます.(1人1台のデスクトップマシンとそのスペースが割り当てられます.)他の大学が実質4年生から研究を始めるころ,早い人は既に学会発表が決まっていたり,共同研究等で企業や他大学の教授と議論をしていたりします.それは,大学院進学予定の人はもちろん,学部卒で就職を考えている人にも,とてもメリットがあることだと思います.

 私達はコンピュータを使って世界の最先端を行く研究を行い,その結果を論文や国際会議,国内学会で発表します.学部生でも十分に研究を行うことはできます.志の高い人が集まり,面白いことをやる気持ちを持ってやれば,何事も可能になるはずです.興味のある方は,是非見学(35棟107室)に来てください.

 研究室選びについて,共同研究先の名古屋大学増渕先生が書かれたブログを貼っておきます.
合わせて参考にして下さい.研究室選びについて