散逸粒子動力学(DPD: Dissipative Particle Dynamics)法や分子動力学(MD: Molecular Dynamics)法を用いて,主に以下のような現象の解明に取り組んでいます.他にもソフトマターに関する様々な研究に取り組んでおりますので,興味がある方は,コンタクトよりお問い合わせ下さい.

 

 ソフトマターの自己集合に関するシミュレーション

 界面活性剤や高分子,液晶などはソフトマターと呼ばれ,私達の身の回りの多くの機能性製品で使われています.例えば,洗剤や化粧品,ペンキ,衣服,そして私達自身の体もソフトマターで構成されています.  洗剤は代表的なソフトマター材料ですが,その機能は洗剤分子が水中で規則的な構造へと自発的に集合することによって発現しています.このようにソフトマターの機能は分子自体が持つ性質と深く関わっており,当研究室では,機能性の発現と自己集合の関係性を分子レベルで解明することを目的としています.




 

 生体分子モーターの歩行メカニズムの解明

 Feynmanは1960年代にサーマル・ラチェットを提案し,生体分子モーターの動きもこれによって説明できると主張しました.しかし,それはあくまで数学的なモデルであり,物理的にどのように実現したら良いかはわかっていませんでした.当研究室はナノ空間における気泡生成現象を利用することで,世界で初めてサーマルラチェットを実現することに成功し,それによって「ナノサイズの分子モーター」を作成可能であることを明らかにしました.  この新規メカニズムは,エネルギー変換効率が非常に高く,仕組みが単純であるため,実際の生体分子でも利用されている可能性があり,生体機能の解明という理学的・医学的な興味からも,生体由来の(Bio-inspired)高効率モーターシステムの作成という工学的な興味からも重要な研究です.




 

 新規ナノ粒子(Janus粒子)のモルフォロジー

 近年の合成技術の発達によって,複雑な形状や表面を持った異方性のナノ粒子の製造が可能となりました.Janus(ヤヌス)粒子はその1つで,1つの粒子内に複数の性質(例えば,疎水性表面と親水性表面)を持った表面が存在します.Janusナノ粒子は光学センサーや量子ドットなどへの応用が期待されていますが,まだ合成方法が確立された段階であり,どのような性機能が発現するかは検討段階です..本研究室では,分子シミュレーションによってJanusナノ粒子が創る特殊な自己集合構造や相を調べることで,発現する性質の予測を行っています.




 

 生命の起源や生体膜の機能解明

 私達の体内の細胞はソフトマターの一種であるタンパク質や脂質がつくる生体膜から構成されています.つまり原始の状態でどのように生命が始まったかは,ソフトマターの自己集合が深く関係があります.さらに生体膜は私達の体内で複雑な機能を果たしています,例えば,膜の内外での水量の調節や通す物質/通さない物質の選択などが行われていますが,膜内の分子がそれらとどのように関わっているかはわかっていません.本研究室では,細胞モデルの自己集合や生体膜内の脂質の運動,さらに生体膜と周りの水・ナノ粒子の相互作用を分子レベルで調べています.




 

 新規高分子材料の分子シミュレーション

 我々は様々なポリマーを利用して豊かな生活を実現しています.ポリマーは巨大な分子であるため,その自由度を活かした特徴的な構造を持つことが可能です.例えば液晶分子は分子内に硬い部分を有し,スターポリマーはある部分から多くの分岐構造を持っています.その特徴的な構造から,機能性材料として研究が進められ,幅広い製品に用いられています.しかし,幅広い機能を発現可能であるため,製品開発においてある特定の望みの性質を得るためには,試行錯誤が必要となってしまいます.本研究室では分子シミュレーションによって,新規高分子材料の分子レベルの性質と発現する機能や物理的性質の関連性を調べています.